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2012年6月にメキシコで開かれたG20サミットの記念撮影の様子 |
【データ入力日】2012年9月5日
【カテゴリ】「国家指標(国の評判)」
【出典】「BBC World Service」
イギリスの公共放送局BBC(英国放送協会)が毎年行なっている「世界に良い影響/悪い影響与えている国」を調べる世界世論調査の結果が今年の5月に公表された。
この調査は、世界22ヶ国で世論調査を行い、対象となる17の国と地域が国際社会において「世界に良い影響(Positive Influence)を与えているか」、それとも「世界に悪い影響(Negative Influence)を与えているか」と質問したもの。調査は電話と対面アンケートで質問し、合計2万4090人から回答を得た。調査期間は2011年12月6日から2012年2月17日の間。
調査は各国の民間調査会社やメディア関係社が分担して行ない、日本の調査は読売新聞社が担当した。なお、この調査は自国に対する自己評価も含まれている。
調査対象は以下の国と地域。
日本
ドイツ
カナダ
イギリス
中国
フランス
EU
アメリカ
ブラジル
インド
南アフリカ
韓国
ロシア
イスラエル
北朝鮮
パキスタン
イラン
以下は、世界17の国と地域に対する世界の評価と、個別の国の評価。
【世界に良い影響と悪い影響を与えている国(2012年)】
2012年の結果を見ると、最も「世界に良い影響を与えている国」と評価された国は日本であった。日本が1位になったのは2008年にドイツと同率1位となって以来。昨年の2011年は、日本はカナダとEU(欧州連合)と並んで同率3位だった。
「良い影響」が58%、「悪い影響」が21%で、「良い影響」は前年から2ポイント、「悪い影響」は1ポイント増えた。
2位はドイツ、3位はカナダだった。
ドイツは「良い影響」が56%、「悪い影響」が16%で、「良い影響」は前年から4ポイント減少し、「悪い影響」は2ポイント上昇した。最も「良い影響」と答えた国は隣接国のフランスで80%と高く、同じくイギリスも70%と、総じてドイツに対する近隣諸国の評価・評判は高いと言える。しかし、南米諸国の評価は比較的低かった。
カナダは「良い影響」が53%、「悪い影響」が14%で、「良い影響」は前年から1ポイント減少し、「悪い影響」は2ポイント上昇した。「悪い影響」の14%は17ヶ国・地域の中で最も低い。
最も「良い影響」と答えた国はカナダで、88%と自己評価が極めて高い事がわかる。また、隣接するアメリカも84%と高く、国民感情の面でも隣国関係は良好な事が読みとれる。しかし、ドイツ同様に南米諸国の評価は比較的低かった。
「良い影響」が低かった国は、14位イスラエル、15位北朝鮮、16位パキスタン、17位イランであった。
特に、パキスタンとイランは共に「良い影響」が16%と低い。
パキスタンは同じイスラム教の影響が強い国であるインドネシア、ナイジェリアからは比較的評価が高い。またインドと外交的に対立している事から、同じくインドと対立関係にある中国からの評価も比較的高い。
しかし、北米、南米、欧州諸国からの評価は極めて低くなっている。長く続いた軍事政権や、核開発、テロ組織との関係疑惑、貧困を温床とする犯罪など、ネガティブなイメージを払拭する事ができなかった事が主な要因と考えられる。
またイランも同様に、イスラム教の影響が強いナイジェリア、インドネシア、パキスタン、エジプトなどの国からは比較的評価が高いものの、その他の国からの評価は極めて低くなっている。国際社会との緊張を高める外交政策や、核開発、閉鎖的で自由の無い国家体制、深刻な人権問題などが影響している。
以下は17の国と地域の中から、注目すべき国とそれに対する世界の評価の結果。
【日本に対する世界の評価】
前記の通り、日本は「良い影響」が58%、「悪い影響」が21%で、「好感度」が1位だった。
同盟国であるアメリカからの評価は、「良い影響」が74%と高く、同じ北米のカナダも72%と高い。南米諸国からの評価は、アメリカ、カナダからの評価ほど高くないものの、他国と比較しても高い水準と言える。
欧州諸国からの評価も総じて高く、特にイギリス、フランスからの評価が最も高い。これは日本文化に対する関心の高さによるものと指摘されている。
しかし、同じ欧州でも、捕鯨問題や歴史認識問題において一部で日本に批判的な論調もあるドイツでは、比較的厳しい評価となっている。同様に日本と領土問題を抱えるロシアも「良い影響」が54%とやや低い。
アフリカ諸国では、ナイジェリアが「良い影響」が80%と22ヶ国中最も高い。長期にわたり、ODA(政府開発援助)などで経済支援を続けてきたことが影響しているものと考えられる。
同じ理由でインドネシアも親日的な国民が多いため、「良い影響」が77%と高くなっている。
しかし、近隣の韓国、中国からの評価は低い。特に韓国からは「悪い影響」が58%、中国からは「悪い影響」が63%と低評価が際立っている。日本と両国間における歴史的経緯や、歴史認識問題、領土問題、長年続く反日教育などによるネガティブな国民感情が影響している。
【アメリカに対する世界の評価】
アメリカは「良い影響」が74%、「悪い影響」が33%で8位だった。
最も「良い影響」が高い国はアフリカのケニアで、79%と非常に高い。これはアメリカのオバマ大統領の父がケニアからの留学生で、ルーツがケニアにある事がアメリカへの親近感となり、高評価へと繋がったと言える。
他のアフリカ諸国からの評価も総じて高いが、エジプトはやや低い。
北米地域では、隣接国のカナダからの評価は「良い影響」が48%、「悪い影響」が42%と、ほぼ拮抗している。しかし、アメリカ人の自国に対する評価は「良い影響」が67%と、ケニアに次いで高いく、カ国からの評価に比べ自己評価が甘いとも言えるだろう。
欧州諸国では、フランスからは「良い影響」が62%と、同盟国のイギリスからの評価の60%と同水準となっている。
しかし、伝統的に対立関係にあるロシアからの評価は、「良い影響」が24%、「悪い影響」が47%と、厳しいものとなっている。同様の理由で中国からの評価も低い。
アジア・オセアニア地域では、同盟国の韓国、オーストラリアからの評価は比較的高い。
しかし同じ同盟国の日本からの評価は、「良い影響」が32%、「悪い影響」が15%と、それほど高くない。ただ、「どちらでもない」の割合が多く、大切な同盟国ではあるものの、普天間基地問題などで複雑な日本人の葛藤が読みとれる。
その一方で、別の世論調査では、東日本大震災の際にアメリカ軍が行なった「トモダチ作戦」により、日本人のアメリカに対する好感度が上昇したという結果もあり、一概には言えない部分もある。
【中国に対する世界の評価】
中国は「良い影響」が50%、「悪い影響」が31%で5位だった。
中国に対する評価が比較的高かったのは、アフリカ諸国で、特にナイジェリアは「良い影響」が89%と極めて高く、次いでケニア75%、ガーナ64%となっている。近年、中国は資源確保の目的などでアフリカ諸国に多額の経済援助を行なっており、そのことが高評価へ繋がっているものとみられる。
また、インドと対立に関係にあるパキスタンからの評価も「良い影響」が76%と高い。インドは領土問題で中国と戦争を経験するなど、中国と対立関係にあるため、パキスタンからみれば「敵の敵は友」という構図が読みとれる。
それを証明するかのように、インドからの評価は「良い影響」が30%と低い水準にとどまっている。
中国に対する評価が比較的低いのは、欧州や北米、南米諸国。
特に、中国の人権問題や政治問題に厳しい欧州や北米諸国からの評価は低く、「悪い影響」の評価も多い。またアメリカはそれらに加え、貿易赤字や人民元の切り上げ問題なと経済的摩擦が大きい事も理由に挙げられる。
さらに、隣国である日本、韓国からの評価はさらに厳しく、特に日本では「良い影響」は10%と極めて低かった。
ただし、中国人の自国に対する評価は「良い影響」が86%とかなり高く、他の国とのギャップが目立つ結果となった。
【韓国に対する世界の評価】
韓国は「良い影響」が37%、「悪い影響」が27%で12位だった。
全体をみると、他国と比較して「良い影響」も「悪い影響」も少ない傾向にあり、「どちらでもない」の回答が多い事が示されている。その意味では、国際的に「あまり良く知らない国」との認識が強いとも読みとれる。
その理由の一つそして、韓国が近年まで軍事政権の続く貧困国であったことや、国連加盟が1991年と遅れたなど、国際社会との関わりが薄かったことが挙げられる。
その中において、韓国に対する評価が比較的高かったのは、同盟国であるアメリカからの評価で「良い影響」が53%。同時にカナダからも52%と、同じ水準であった。
また、ナイジェリアや、中国、インドネシアからの評価も比較的高かったが、特筆する程高いものではなかった。
一方で、南米、欧州諸国からの評価はやや低い。特に、スペイン、ドイツからの評価が低かった。
日本からの評価は「良い影響」が34%、「悪い影響」が16%で、「どちらでもない」の割合が高かった。
近年、韓流やK-POPなどで韓国に対する親しみや印象が良くなる日本人が多くなった反面、領土問題や歴史認識問題などの対立によって、韓国に対する感情が悪化している日本人も多く、複雑な国民感情を示す結果となったと言える。
【北朝鮮に対する世界の評価】
北朝鮮は「良い影響」が19%、「悪い影響」が50%で15位だった。
概ね全地域からの評価が厳しく、比較的高評価なのは、ナイジェリア、ケニア、エジプトなど、北朝鮮とほとんど繋がりの無い一部の国に限られている。ただ、エジプトに関しては、エジプトのムバラク前大統領と金正日元総書記との間に、独裁者同士のパイプがあった事も影響しているものとみられる。
しかし、「血で固められた同盟国」とも言われる中国や、北朝鮮の伝統的な友好国であるロシアからの評価も意外にも厳しく、「良い影響」と「悪い影響」がほぼ拮抗する結果となった。
また、パキスタンやインドネシアなど、一部で北朝鮮と交流関係のある国でも評価は低かった。
その他の地域、国々からの評価は総じて厳しい。
特に、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指ししたアメリカ、人権問題に敏感な欧州諸国、そして何よりも、現在も北朝鮮の脅威にさらされている日本や韓国からの評価は極めて厳しいものとなった。
【関連記事】
世界で最も評判の良い国(2011年)【Reputation Institute】
【関連サイト】
BBC World Service
BBC World Service「世界に良い影響/悪い影響与えている国【PDF】」
【関連報道】
「「世界に良い影響」日本トップ…BBC読売調査」2012年5月11日 読売新聞
「Europe less, China more popular in global BBC poll」2012年5月11日 BBC NEWS WORLD
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