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「世界に良い影響与えている国」ランキング 1位となったドイツの人々。 |
【記事作成日】2013年6月8日
【カテゴリ】「国の評判」
【出典】BBC World Service
世界で最も高感度の高い国はドイツ。
英国放送協会(BBC)の海外向け放送、BBCワールドサービス(BBC World Service)は5月23日、毎年恒例の国際世論調査の結果を発表。その結果、世界に最も良い影響を与えている国と評価されたのはドイツだった。ドイツは昨年の2位から順位を上げ、今年1位となった。一方、昨年1位だった日本は、4位に急落した。
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2013年版で世論調査を行った25か国。 出典:BBC World Service
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この調査はBBCワールドサービスが企画し、カナダの民間調査会社グローブスキャン(GlobeScan)と、メリーランド大学(University of Maryland)の国際政策観プログラム(PIPA - Program on International Policy Attitudes)が実施したもの。今年は25か国の2万6299人を対象に、日本などを含む17の国と地域についての印象を対面式で尋ねた。
その中で、各国が国際社会に対して「概ね良い影響(Mainly Positive Influence)を与えているか」、それとも「概ね悪い影響(Mainly Negative Influence)を与えているか」と質問。良い影響と答えた割合の平均値を高い順にランキング化している。
調査期間は、2012年12月10日から2013年4月9日まで。
下の図(図1)は、17の国と地域に対する「良い影響」と「悪い影響」の評価の平均値。前年との比較ができるよう、2013年版と2012年版のグラフを掲載している。
図1 世界に良い影響と悪い影響を与えている国(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】
【2012年版】
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出典:BBC World Service |
今年1位となったドイツの場合、回答者の59%(前年56%)がドイツの影響を「良い影響」と答え、「悪い影響」は15%(同16%)にとどまっている。欧州債務危機の対応で軋轢が生じたギリシャからの評価は低かったものの、総じて各国から高い評価を受けている。
2位はカナダで、「良い影響」は55%。一方、特に大きな国家間の問題を抱えていないことから、「悪い影響」は13%と、対象国の中では最も少ない。
3位のイギリスも「良い影響」は55%で、前年から4%増えた。ロンドンオリンピックの成功が、肯定的なイメージを与える要因になったと報告書は指摘している。
4位は日本で、昨年の1位から3つ順位を下げた。「良い影響」は51%で、前年の58%から7%減少。また「悪い影響」も27%で、前年の21%から6%増えた。特に、領土問題や歴史問題を抱える中国・韓国からの評価が一段と悪化したことが要因だった。しかしその中国(9位)と韓国(10位)も、3か国の国民同士で評価を下げ合うなど、お互いの足を引っ張り合うような結果となっている。
一方、「世界に悪い影響を与えている国」としては、イスラエル(14位)や、北朝鮮(15位)、パキスタン(16位)、イラン(17位)などが国際的にに厳しい評価を受けている。
ここからは、評価の対象となった17の国と地域の中から、日本にとって関心の高い9か国(ドイツ・イギリス・日本・フランス・アメリカ・中国・韓国・ロシア・北朝鮮)の評価の内容を順位順にみていきたい。
主要国の評価一覧(順位順)
図2 ドイツに対する世界の評価
図3 イギリスに対する世界の評価
図4 日本に対する世界の評価
図5 フランスに対する世界の評価
図6 アメリカに対する世界の評価
図7 中国に対する世界の評価
図8 韓国に対する世界の評価
図9 ロシアに対する世界の評価
図10 北朝鮮に対する世界の評価
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図2 ドイツに対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
ドイツ【良い影響:57% 悪い影響:12%】
1位のドイツは、世界各国からの評価が総じて高い。特にフランス(良い影響:81%)やイギリス(良い影響:78%)、ポーランド(良い影響:67%)など、近隣諸国からの評価が高いのが特徴だ。
また、韓国(良い影響:76%)からも高い評価を受けている。韓国では「ドイツは歴史を反省しているのに日本は...」といった「ドイツに見習え論」が盛んに主張されているため、ドイツを賛美する傾向が強い。
日本も「悪い影響」はわずか3%と、「良い影響」が47%と若干少なかったものの、概ね肯定的な評価をしている。
一方、債務危機によって金融支援を受ける反面、厳格な緊縮財政政策を求められ、ドイツに対する不満が高まっているギリシャからの評価は、「良い影響」がわずか25%、「悪い影響」は52%と厳しい。2012年10月にメルケル独首相がギリシャを訪問した際には、首相をヒトラーになぞらえた反ドイツデモが発生するなど、ドイツに対する感情は悪化している。
図3 イギリスに対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
イギリス【良い影響:54% 悪い影響:19%】
3位のイギリスは、前年の4位から順位を一つ上げた。要因として、ロンドンオリンピックの影響が指摘されている。
注目すべき点は、旧植民地諸国やイギリス連邦加盟国からの評価が総じて高いことだ。特にガーナ(良い影響:88%)や、ナイジェリア(良い影響:75%)、ケニア(良い影響:70%)など、旧植民地で現在もイギリス連邦に加盟するアフリカの国からの評価が高い。
また同じく加盟国のカナダ(良い影響:69%)とオーストラリア(良い影響:61%)からの評価も比較的高い一方、インド(良い影響:49%)とパキスタン(良い影響:35%)では、比較的低い評価となるなど、同じ加盟国の中で差が出た。
この他、中南米諸国や、トルコ(良い影響:31%)、ギリシャ(良い影響:27%)などからの評価も低くなっている。
図4 日本に対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
日本【良い影響:52% 悪い影響:26%】
昨年1位だった日本は、今年は4位と順位を下げた。全体評価は、「良い影響」が58%から52%に減少し、「悪い影響」は21%から26%に増加している。
特に、領土をめぐる外交問題や歴史認識問題を抱える中国(良い影響:17%、悪い影響:74%)と韓国(良い影響:21%、悪い影響:67%)からの評価は、元々低かったものの、今年はさらに低下し、全体の評価を下げる要因の一つとなった。
中国や韓国からの評価が低下したのは理解できるが、一方でその他の国からの評価に目を向けると、中南米諸国を除く多くの国で日本に対する評価が下がっていることに気が付く。特に、ドイツでは「良い影響」が58%から28%に半減。スペインも62%から36%に下がった。また、同盟国アメリカからの評価も74%から66%に下がるなど、軒並み低下している。
原因としては、尖閣諸島をめぐる日中間の軍事的緊張の高まりが世界的に報じられていることや、アベノミクスによる円安が、為替誘導と否定的に報じられたことなどが考えられる。特に日本と同じ輸出大国のドイツでは、自国経済に不利になる円安に対して批判的な報道が多く、そのことが評価を下げた要因の一つと推測される。
一方、最も日本に対する評価が高かったのはインドネシアで「良い影響」は82%にも達した。また、ブラジル、チリ、ペルーなどの南米諸国でも評価が高く、前年から評価を上げている。
図5 フランスに対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
フランス【良い影響:48% 悪い影響:22%】
5位のフランスは平均的な評価となった。その中で、フランスに対する評価が最も高かったのは、他ならぬフランス自身だった。自国に対する評価は「良い影響」が76%で、「悪い評価」は19%。自尊心の高い国民性が表れるような結果となった。
他国からの評価では、ガーナ(良い影響:68%)で最も高く、次いで、韓国(良い影響:64%)、チリ(良い影響:63%)と続く。
一方、フランスと伝統的に深い繋がりのあるカナダ(良い影響:60%)をはじめ、周辺国のイギリス(良い影響:50%)やドイツ(良い影響:48%)などからの評価は決して高いものではなかった。また、何かと意見が対立するアメリカ(良い影響:48%)からの評価も芳しいものではなかった。
最も評価が低かったのはトルコで「良い影響」はわずか21%、「悪い影響」は64%に上るなど否定的な評価が際立っている。背景にはトルコのEU加盟問題や、アルメニア人虐殺に関する政治的対立などがある。
図6 アメリカに対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
アメリカ【良い影響:44% 悪い影響:35%】
8位のアメリカに対する評価は、各国ごとに大きく分かれた。
評価が高かったのはアフリカ諸国で、ガーナ(良い影響:82%)や、オバマ大統領のルーツでもあるケニア(良い影響:69%)、ナイジェリア(良い影響:67%)など。
評価がはっきり割れたのは欧州諸国で、フランス(良い影響:52%、悪い影響:39%)、イギリス(良い影響:46%、悪い影響:46%)、ドイツ(良い影響:35%、悪い影響:39%)などでは「良い影響」と「悪い影響」がほぼ同じとなった。また、隣国のカナダ(良い影響:45%、悪い影響:45%)でも評価が分かれている。
一方、評価が低かったのは、常に大国同士の利害がぶつかり合うロシア(良い影響:12%)や中国(良い影響:20%)、そして反米感情が根強いエジプト(良い影響:24%)やパキスタン(良い影響:14%)などのイスラム諸国だった。
日本からの評価は、「良い影響」が42%とあまり高くはないが、「悪い影響」はわずか10%と、概ね肯定的な評価をしていることが読みとれる。
図7 中国に対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
中国【良い影響:40% 悪い影響:40%】
中国に対する評価は、高評価の国と低評価の国ではっきり分かれた。
最も評価が高い国はパキスタン(良い影響:81%)。隣国インドと軍事的対立が続く中、利害が一致する中国の影響力を肯定的に捉えているようだ。
また中国の援助の恩恵を受けているアフリカ諸国の評価も比較的高い。ただ、自国の利益ばかりを追求した援助は、「中国はアフリカを新たな植民地にしようとしている」との批判を受けている。そのためか、これらの国でも肯定的な評価は、前年比で低下した。
一方、欧米諸国からの評価は総じて低く、前年比で大きく低下している。要因は様々だが、主に、中国とEUの間で課税や価格をめぐる貿易摩擦が深刻化していることや、アメリカを標的としたサイバー攻撃が大きな問題となっていることなどが挙げられる。
当然、中国の海洋覇権主義的な動きを警戒する日本(良い影響:5%)や韓国(良い影響:23%)の評価も極めて低くなっている。
図8 韓国に対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
韓国【良い影響:35% 悪い影響:31%】
韓国に対する評価は、ほとんどの国で低い。「良い影響」が50%を越えたのは、自国以外ではインドネシア(良い影響:58%)とガーナ(良い影響:55%)だけだった。特にドイツ(良い影響:17%)からの評価は最も低く、韓国のドイツに対する高評価とは正反対となっている。その他の国でも前年比で軒並み低下している、
この事について韓国のメディアは「調査の際、回答者が韓国(South Korea)と北朝鮮(North Korea)を混同した可能性がある」と指摘した。しかし、真偽の程は不明。
一方、竹島問題や歴史問題などで関係が悪化した日本からの評価は、「良い影響」が34%から19%に減少し、「悪い影響」は16%から28%に増加している。
図9 ロシアに対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
ロシア【良い影響:30% 悪い影響:39%】
ロシアに対する評価の平均は、「悪い影響」が「良い影響」を上回った。
最も高かったのは自国に対する評価で、「良い影響」が58%。その他は、ほぼ全ての国で低い評価となっている。ロシアとの関係が深い中国からの評価でさえ「良い影響」が44%と高くはなかった。
また、領土問題を抱える日本からの評価も「良い影響」が14%と最低水準。ただ、前年の8%からは若干改善している。メドヴェージェフ前ロシア大統領が北方領土を訪問したのをきかけに、日露関係は急速に悪化したものの、プーチン大統領に変わってから、領土問題解決のための交渉再開を呼びかけたことが、若干肯定的な評価をもたらしたものと考えられる。
図10 北朝鮮に対する世界の評価(2012年 - 2013年の比較)
【2013年版】 【2012年版】
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出典:BBC World Service |
北朝鮮【良い影響:18% 悪い影響:54%】
北朝鮮に対する評価は、ほぼ全ての国で厳しいものとなった。特に日本の場合は「良い影響」が0%。その他の国でも、ドイツは3%、韓国は4%となるなど、1桁台の極めて低い評価が目立つ。
注目は「血で固めた同盟」と言われる中国からの評価でさえ「良い影響」が32%と低いことだ。同じく伝統的友好国であるロシアからも16%となっている。国際社会からの反発を無視して核やミサイルを開発する北朝鮮に対し、友好国の国民の間でも不満や不信感が高まっているようだ。
【関連記事】
「世界に良い影響与えている国」ランキング(2012年)【英BBC 世論調査】
世界で最も評判の良い国(2011年)【Reputation Institute】
【関連サイト】
BBC World Service
『2013 Country Rating Poll』 2013年版 世界に良い影響を与える国ランキング
『2012 Country Rating Poll』 2012年版 世界に良い影響を与える国ランキング
【関連報道】
「中国、国家イメージ悪化に国内でも関心高まる」2013年6月10日 産経新聞
「BBCが手掛けた国別好感度ランキング、昨年首位だった日本は急落」2013年6月3日 リセマム
「【 コラム 】それでも世界から愛される日本」2013年6月1日 朝鮮日報
「世界の好感度No.1国はドイツ、英BBC調査」2013年5月26日 AFP通信
「日中韓3カ国、互いのイメージ低下…英BBC調査=韓国」2013年5月25日 サーチナ
「BBC国家イメージ好感度調査:ドイツ1位、中国9位」2013年5月24日 人民網
「BBC poll: Germany most popular country in the world」2013年5月23日 BBC
「Poll: Germany is the world’s ‘most popular’ country」2013年5月23日 Washington Post
「Most Popular Country In The World:Germany Tops BBC's Annual Poll」2013年5月23日 Huffington Post
「中国のイメージ、2005年以来の最低値 日本も急落=BBC国際世論調査」2013年5月23日 大紀元
「「世界に良い影響」日本トップ…BBC読売調査」2012年5月11日 読売新聞
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